「あの山に登った」ということと「私は登山者(あるいは登山家)」ですということは同じではありません。前者は物見遊山(単なるレジャー)であり、後者はライフスタイル(生き方)とも言えるでしょう。計画→登山活動→検証→修正を繰り返して、登山者として成長しつづけることと、毎回その場かぎりのおでかけを繰り返すことでは、たどり着くゴールは大きく異なります。PDCAという言葉がなかった時代から登山者(登山家)たちは計画→登山活動→検証→修正を繰り返し、失敗はもちろんのこと、成功した登山の中にさえ課題をみつけ、「ピュアな登山欲求に基づく、フェアな手段による登山」というアルピニズムの概念を具現化してきたのです。